猫を飼っている方の多くは、いつも決まったキャットフードを与えているのではないかと思います。
猫の健康を考え、飼い主としてのこだわりを持って選んだ商品、もしくはいろいろ試した結果、最も食いつきが良かった商品を継続して与えていることでしょう。
しかし、「愛猫がキャットフードの味に飽きてしまった」「加齢にともない、年齢に適したキャットフードを与えなければいけなくなった」といった理由から、キャットフードを切り替えなければいけなくなることがあります。
ところで、人によっては「今日からコレ!」といきなり商品に切り替えているかもしれませんが、これは実はNG。急な切り替えは猫に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、キャットフードの正しい切り替え方法、切り替える際の注意点などをまとめています。
間違った切り替え方をしないために、ぜひチェックしてみてください。
キャットフードを切り替える理由
基本的に、キャットフードを頻繁に切り替えるのはおすすめしません。
「愛猫にいろんな味を楽しんでもらいたいから」と考えている方もいるかもしれませんが、不必要な切り替えはむしろ猫に負担をかけてしまうことになります。
その結果、下痢や軟便をはじめ、何かしらの体調不良を引き起こすリスクが高まります。
とはいえ、「絶対に切り替えてはいけない」というわけではありません。
猫を飼っていると、どうしてもキャットフードを切り替えなければいけなくなることもあります。
そのときは適したものに切り替えてあげましょう。
では、具体的に「キャットフードを切り替える必要があるケース」とはどのような場合なのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
猫が健康を害した
毛玉を頻繁に吐くようになった、下部尿路疾患が見つかった、加齢によって腎臓の状態が悪化したなど、猫に何かしらの異常が現れた場合は、各症状に適したキャットフードに切り替える必要があります。
現在販売されているキャットフードの種類は実に多く、その中には「毛玉ケア」「下部尿路ケア」「消化器サポート」など、特別なケアを目的に作られているものもあります。
商品によって適応症の改善・ケアに適した栄養素が多く含まれており、与えることで食事をさせつつ健康状態を管理することができます。
特に加齢による体調不良はどの猫にも見られる問題なので、何かしらの異常が現れた場合はすみやかに適切なキャットフードに切り替えてあげましょう。
キャットフードに問題がある
今や数多くのキャットフードが流通していますが、商品によって使用されている原材料は異なります。
中には危険とまではいかずとも、猫にとって不必要な原材料が含まれているものもあります。
また、ただ不必要というだけであれば問題ないかもしれませんが、ものによっては猫の健康を害するリスクがあることも……。
このように、キャットフードに問題がある場合は、品質の良いものに切り替える必要があります。
こんな時はちょっと待って!
猫がキャットフードをあまり食べなくなったからといって、すぐ別の商品に切り替えるのはおすすめしません。
すでに説明したように、猫の健康状態が悪い場合や現在与えているキャットフードの品質が粗悪である場合は別ですが、そうでない場合はまず「なぜ食べなくなったのか」を考えることが大切です。
そのうえで、可能であれば再び食べてもらえるように工夫しましょう。
というわけで、猫がキャットフードを食べなくなる理由やその対処法についてまとめてみました。
キャットフードが傷んでいる
ドライフードにしてもウェットフードにしても、誤った方法で保管していると状態がどんどん悪化するおそれがあります。その結果、味や香りが劣化してしまいます。
猫は匂いに敏感な動物なので、特に香りが落ちてしまうと食べてくれなくなることが多々あります。
こうならないためには、保管方法を見直す必要があるでしょう。
特に開封後、密封せずに置いておくのは禁物です。
キャットフードは空気に触れると酸化が進んで品質が落ちてしまうので、開封したあとはなるべく密封した状態で保管しましょう。
また、急激な温度変化も品質が落ちてしまう原因のひとつです。
高温多湿の場所に保管するのは避け、なるべく涼しい場所に保管しましょう。
環境が変わった
猫は時として、些細な環境の変化によってキャットフードを食べなくなることがあります。
たとえば、食事の場所を人間の近くに移動させた場合です。いくら飼い主とはいえ、人間がバタバタと歩き回っているところでは安心してゆっくりご飯を食べることができません。
また、食器の汚れ具合がひどくなるにつれて、キャットフードを食べなくなっていくケースもあります。
猫は匂いに敏感なので、唾液や汚れによる悪臭を察知すると新鮮なキャットフードでも食べなくなります。
特に見落としがちなのが、ドライフードを入れている食器の手入れです。
ウェットフードを入れている食器と違い、パッと見は汚れていないことから、手入れをサボってしまいがちになることもあるのではないでしょうか。
このような環境の変化が原因だと考えられる場合は、猫が安心して食事できる環境を整えてあげましょう。
加齢により食欲が落ちた、噛む力が弱まった
私たち人間は歳を重ねるごとに身体能力や体の機能が低下していきますが、これは猫も同じです。
個体差はありますが、一般的に猫は10歳を超えるあたりから徐々に体の機能が低下し始めます。
特にドライフードをメインに与えている場合は、噛む力が弱まることによってうまく食べられなくなることも少なくありません。その場合は、お湯をかけてふやかすのがおすすめです。
食感が柔らかくなるのでシニア猫でも噛みやすくなるほか、温めることで香りが強くなり、猫の食欲をそそる効果も期待できます。
好みが変わった
人によっては「想像通り」と思われるかもしれませんが、猫は気まぐれで飽きっぽい性格をしています。
そのため、一時期は好んで食べていたキャットフードでも、突然味に飽きて食べなくなることがあります。
この場合は、ふだんあげているキャットフードにトッピングをして、味に変化を出してあげるのがおすすめです。
ドライフードをあげている場合はその上からウェットフードをかけてあげる、ウェットフードをあげている場合はトッピング用のかつお節をまぶしてあげる、といった工夫をしてみてはいかがでしょうか。
また、キャットフードに限らず、猫が好む肉や魚をキャットフードと一緒にあげるのも一つの手です。
ただしその場合は、栄養バランスに注意する必要があるでしょう。
キャットフードの切り替え方
どうしても既存のキャットフードから別のものに切り替えなければいけなくなったとしても、急な切り替えは禁物です。
急に切り替えると猫に負担がかかりやすくなり、下痢をはじめとする体調不良を引き起こすリスクが高まります。そもそも、いきなり新しいキャットフードをあげたとしても、警戒して食べてくれない可能性があります。
では、どのようにしてキャットフードを切り替えるといいのか、その方法についてまとめてみました。
徐々に新しいフードに慣らしていく
すべてのキャットフードは、各ペットフードメーカーが猫に適した栄養バランスを細かく計算したうえで作られています。
そのため、同じ主原料を用いて作られているキャットフードであっても、他の原材料や含有量の割合などが異なります。
そんなキャットフードを頻繁に切り替えると、猫の胃腸に負担がかかりやすくなるおそれがあります。
その結果、食欲不振や下痢、軟便といった胃腸症状を引き起こすことも考えられます。
このようなリスクを少しでも抑えるためには、徐々に新しいキャットフードに慣らしていくことが大切です。
具体的には、これまで与えていたキャットフードに新しいものを混ぜ、徐々に既存のキャットフードの量を減らしていく、というのがおすすめ。
こうすることで胃腸にかかる負担を軽減しつつ、新しいキャットフードの味にも慣れてもらうことができます。
切り替えの目安
従来のキャットフードと新しいキャットフードを混ぜて与え、徐々にそれぞれの量を増減していくことで、自然な形でキャットフードを切り替えることができます。
では、具体的にどのように切り替えていくのがいいのか、その目安を以下にまとめてみました。
1日目 従来のキャットフード90%:新しいキャットフード10%
2日目 従来のキャットフード80%:新しいキャットフード20%
3日目 従来のキャットフード70%:新しいキャットフード30%
4日目 従来のキャットフード60%:新しいキャットフード40%
5日目 従来のキャットフード50%:新しいキャットフード50%
6日目 従来のキャットフード40%:新しいキャットフード60%
7日目 従来のキャットフード30%:新しいキャットフード70%
8日目 従来のキャットフード20%:新しいキャットフード80%
9日目 従来のキャットフード10%:新しいキャットフード90%
10日目 従来のキャットフード0%:新しいキャットフード100%
※これはあくまでも目安なので、食いつきが悪い場合は与える分量を調節してみてください。
こんな時は切り替えのはやさを調節する
キャットフードを新しいものに切り替えたことで何かしらのトラブルが生じた場合は、切り替えを中止するのではなく、まずは状況改善のための工夫をすべきです。
ここでは、切り替えによるトラブルとして多い「下痢・軟便が起きた場合」「食いつきが悪くなった場合」のケースについて、それぞれ対処法をまとめてみました。
ぜひチェックしてみてください。
下痢・軟便が起きた
キャットフードの切り替えによって、下痢・軟便といった症状が現れた場合は、与えるキャットフードの割合を一旦戻してみましょう。
先ほど紹介した目安通りに与えていたとしても、個体差によって切り替え方が体に合っていない可能性があります。
一旦従来のキャットフードの比率を増やし、様子を見てみましょう。
また、どのようにしても下痢・軟便などの症状が現れてしまう場合は、新しいキャットフードにその猫にとってのアレルゲンが含まれている可能性があります。
この可能性がある場合は、すみやかに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
食いつきが悪い
徐々に切り替えを進めていっても食いつきが悪い場合は、まだ新しいキャットフードに警戒心があるのかもしれません。
焦らず、1~2日様子を見てみましょう。また、いつまで経っても食いつきが良くならない場合は、食事の環境やキャットフードの与え方、キャットフードの保管方法が間違っている可能性があります。
安心して食事できる環境にない、あるいはキャットフードの品質が落ちているといった場合、猫の食いつきが悪くなることがあります。
今一度、食事環境やキャットフードの保管方法などを見直し、快適に食事できる環境を整えてあげましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
キャットフードの切り替えについてのまとめは以下の通りです。
・原則として、特に問題が生じていない場合は無闇に切り替えを行わない
・猫がキャットフードを食べなくなったときは、食事環境やキャットフードの保管方法を見直してみる
・どうしても切り替える必要がある場合は、徐々に新しいキャットフードに慣らしていく
これらの要点を踏まえたうえで、正しくキャットフードを与えましょう。
また、正しくキャットフードを切り替えたにもかかわらず、猫の健康状態に異常が現れた場合は、すみやかに獣医師に相談することをおすすめします。