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キャットフードの安全を守るペットフード安全法とは?

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キャットフードの安全を守るペットフード安全法とは

ペットフード安全法とは、犬や猫のペットフードの安全確保を目的として定められた法律です。

犬と猫のペットフードを対象としている法律で、小動物や魚、爬虫類、虫などは対象外となります。

ペットフード安全法について詳しく見ていきましょう。

キャットフードの安全を守るペットフード安全法とは

キャットフードの安全を守るペットフード安全法とは

犬と猫のペットフードの安全確保を目的とした、ペットフード安全法。

今回はペットフード安全法について、具体的にどういった法律なのか、定められたきっかけなどを解説していきます。

ペットフード安全法ってどんな法律?

「ペットフード安全法」とは、ペットフードの安全を確保し、犬や猫の健康を守ることを目的に定められた法律です。

ペットフードをはじめとし、おやつやサプリメント、飲み物など犬や猫が食べるものを対象としています。

国が定めた法律なので、国内で製造・販売されるペットフードはこの法律に従ったものである必要があります。

国が定めた基準・規格に合わない製品の場合、製造・輸入・販売のすべてを禁止します。

万が一、基準・規格をかいくぐったとしても有害な製品が販売された場合、事業者に対して国から廃棄や回収の命令をすることができるのです。

また医薬品についてですが、医薬品は医薬品医療機器等法の対象なので、ペットフード安全法の対象には含まれていません。

ペットフード安全法で守られる対象

ペットフード安全法の対象について、ポイントが2つ挙げられます。

1つめは対象が犬と猫であること。

2つめは対象となるペットフードについてです。

総合栄養食やおやつなどは対象になりますが、お店で食べる食事や薬などは対象外です。

詳しくは表をご参考にしてください。

【対象になる例】
総合栄養食
一般食(副食、おかず)
おやつ(トリート)、スナック、ガム
生肉
サプリメント
ミネラルウォーター
店からテイクアウトしたペットフード

【対象にならない例】
またたび
猫草
おもちゃ

店で提供されるペットフード
調査研究用のペットフード

ペットフードの成分規格

ペットフード安全法の対象について、ポイントが2つ挙げられます。

1つめは対象が犬と猫であること。

2つめは対象となるペットフードについてです。

事業者が守るべきと国が定めた基準・規格に成分規格や製造方法の基準、表示基準の3つの項目があります。

成分規格から順に見ていきましょう。

【農薬】
グリホサート:15μg/g
クロルピリホスメチル:10μg/g
ピリミホスエチル:2μg/g
マラチオン:10μg/g
メタミドホス:0.2μg/g

【汚染物質】

※環境中に存在する物質で、意図せず愛玩動物用飼料中に含まれるもの

アフラトキシンB1:0.02μg/g
デオキシニバレノール:2μg/g(犬用)、1μg/(猫用)
カドミウム:1μg/g
鉛:3μg/g
砒素:15μg/g
BHC(α-BHC、β-BHC、γ-BHC、δ-BHCの総和):0.01μg/g
DDT(DDD及びDDEを含む):0.1μg/g
アルドリン及びディルドリン(総和):0.01μg/g
エンドリン:0.01μg/g
ヘプタクロル及びヘプタクロルエポキシド(総和):0.01μg/g

【添加物】
エトキシキン・BHA・BHT:150μg/g(合計量)
亜硝酸ナトリウム:100μg/g

【その他】
メラミン:2.5μg/g 

ペットフードの製造方法の基準

次に製造方法の基準です。

【有機微生物】
加熱して乾燥する場合は原材料等に由来し、かつ発育しうる微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行う

【プロピレングリコール】
猫のキャットフードへの使用禁止

【その他の有害物質等】
有害な物質を含んでいたり、病原微生物により汚染された原材料の使用禁止

ペットフードの表示基準

3つめは表示基準になります。

表示基準はペットフードの名称や賞味期限、原材料名、原産国、事業者名称、住所を記載する必要があります。

【ペットフードの名称】
商品名のことです。

犬用なのか、猫用なのかを分かりやすく表記します。

【賞味期限】
年月日、年月形式が表記されています。

【原材料名】
原則として添加物を含めて使用されている原材料が、すべて表記されています。

【原産国】
最終加工工程を完了した国名が表記されています。

【事業者名称と住所】
事業者名と事業者が製造、輸入、販売のどれに属すか、住所が記載されています。

ペットフード安全法誕生のきっかけ

ペットフード安全法は「毒入りペットフード事件」がきっかけになり定められました。

2007年3月にアメリカで、有害物質のメラニンとシアヌル酸が混入したペットフードによって、犬や猫が大量に死亡した事件がありました。

毒入りペットフード事件は、ペットフードの製造委託を請け負っていた、カナダのメニュー・フーズ社が製造したペットフードで起こったのです。

中国から輸入した小麦グルテンやライスプロテインといった原材料に、メラミンやシアヌル酸が含まれており、ペットが腎不全を起こして大量に死亡してしまいました。

毒入りペットフードは日本にも輸入されていましたが、輸入業者の自主回収によってペットの健康被害は起きずに済みました。

そしてこの事件を受けて、2007年8月に農林水産省と環境省が合同で法案を提出。

2008年6月にペットフード安全法が成立、2009年6月に施行されたのです。

法律ができる前までは安全基準のない無法地帯だった

毒入りペットフード事件がきっかけとなり生まれた法律ですが、法律ができる前はどうだったのでしょうか。

ペットフード安全法が施行される前は、安全基準のない無法地帯だったと言えます。

特に日本ではペットを「物」として考えられていたので、物に与えるフードは規制する対象ではなかったのです。

そのため、ペットフードに品質の保証はありませんでした。

その他のペットフードを守る法律

ペットフード安全法の他にも、「ペットフード公正競争規約」と「薬事法」というペットフードを守る法律があります。

この2つの法律について、それぞれ解説します。

ペットフード公正競争規約

「ペットフード公正競争規約」とは、ペットフード公正取引協議会が消費者庁および取引委員会の承認のもとに作ったものです。

景品表示法によって定められている消費者の商品選択に必要な情報と、業界内で公正な競争の確保を目的とした自主基準になります。

ペットフード公正競争規約では、ペットフードの原材料名を使用料が多いものから順番に記載するように定められています。

この原材料表記の順番は、ペットフード安全法では特に規定されていないのです。

しかし消費者への情報提供の観点からすると、多い順に記載することが望ましいと言えますね。

薬事法

もうひとつ「薬事法」という法律があります。

薬事法は動物用のものとして規定された医薬品や医薬部外品、医療機器を対象とします。

ペットフードやおやつなどは医薬品ではないため、医薬品的効能を示そうとすると薬事法違反となります。

そのため医薬的な表現をしないように規制しているのです。

まとめ

ペットフード安全法について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

犬や猫のフードの安全確保を目的に定められた「ペットフード安全法」。

この法律によって、ようやく日本でも最低限の安全基準が設けられました。

しかし、まだまだ不健康で安全とは言いがたいフードがたくさん作られているのが現状です。

原材料の表記を確認する習慣をつけるなど、良いものを見分ける目を養いたいですね。

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