猫と一緒に暮らす場合、毛玉の問題は避けられません。
猫の毛玉について見ていきましょう。
毛玉ケア
猫を飼っている場合、毛玉ケアは避けられない問題だと思います。
「どうやって対策したらいいんだろう」と疑問を持つ飼い主さんもいるでしょう。
しかし実は毛玉対策用のキャットフードが存在します。
毛玉対策用のキャットフードや、猫の毛玉などについて詳しく解説していきます。
猫に毛玉はつきもの
猫を飼っている方からすると「猫に毛玉はつきもの」という感覚がありますよね。
猫はよくグルーミングをする生き物です。
そしてその際に飲み込んだ毛を、定期的に吐き出します。
しかし吐き出す際に、猫の体には少なからず負担がかかっています。
負担がかかるのに定期的に吐き出すのはなぜでしょう。
猫の毛玉やグルーミングについてまとめます。
毛玉ってなに?
そもそも猫の毛玉とは何なのでしょうか。
猫はよく自分の体を舐める、グルーミングをします。
猫の舌には、ザラザラとした糸状乳頭(しじょうにゅうとう)という突起のようなものがついています。
グルーミングの際に、突起に引っかかって抜けた毛を飲み込み、飲み込んだ毛がおなかにたまり、毛玉となるのです。
換毛期は特に毛の量が多い
季節の変わり目の換毛期は、特に抜け毛が多くなるため飲み込む毛の量も増えてしまいます。
猫の換毛期は年に2回あり、気温が温かくなる3月と寒さが厳しくなり始める11月頃から始まると言われています。
猫はなぜグルーミングするの?
猫は起きている時間の1~3割を、グルーミング(毛づくろい)に費やしているとされています。
ではなぜ猫はグルーミングをするのでしょうか。
猫がグルーミングする理由をいくつか紹介します。
狩りをするために必要
狩りをするために、猫のグルーミングは必要です。
猫はもともと外で狩りをして生活していた動物になります。
そのため獲物や敵に気づかれないために、グルーミングをして自分のにおいを消していたのです。
自己防衛のためにも必要
もともと猫は外で狩りをする動物だったので、敵に見つからないようにグルーミングで自分のにおいを消していました。
捕食動物の血などで体が汚れた場合にも、におい消しや体を清潔に保つためにグルーミングを行っていたのです。
自己防衛のためと言えますね。
ビタミンDの摂取
猫のグルーミングには、ビタミンDを摂取するためという説もあります。
ビタミンDは日光を浴びることによって、被毛に生成されます。
骨や歯の発育に影響を及ぼすビタミンDは、欠かせない栄養素。
猫は健康維持のために、グルーミングで被毛についたビタミンDを経口摂取しているのです。
リラックスするため
大きい物音や、飼い主に怒られたときなど、不安や驚きなどを感じた場合にもグルーミングを行います。
こういった場合に行うグルーミングは、気持ちを落ち着かせてリラックスするためのものです。
体温調節
猫のグルーミングには、体温調節の効果も。
猫にはほとんど汗腺がないため、あまり汗をかきません。
夏などの暑い時期は舐めることで、体表で唾液を気化させて体温を下げています。
また冬の寒い時期は、舐めることで体表の間に空気の層を作ります。
そうすることで保温効果が生まれ、体温を逃がさないようにできるのです。
コミュニケーション
猫は自分だけでなく、猫同士や飼い主の手や顔を舐めることがありまあすよね。
これは猫が仲間と認めた相手にのみ行う「愛情表現」です。
猫が単独で行うグルーミングのことを「セルフグルーミング」と言うのに対して、他社に行うものは「アログルーミング」と呼びます。
これは、大切なコミュニケーション方法の1つなのです。
おなかにたまった毛玉はどうなるの?
グルーミングによっておなかにたまった毛は、消化されません。
吐き出したり排便したりで、体内から出しますが、これは猫としては自然な行動です。
しかしうまく排出できず、体内にたまってしまう場合も。
毛が体内に入ったときの猫の行動や、毛玉を出せない場合についてまとめます。
吐き出すか糞と一緒に排出するかのどちらか
猫がグルーミングをする際に、抜けた毛を飲み込みます。
猫が毛玉を吐くのは、お腹にたまった毛玉を定期的に吐き出すことによって、溜まらないようにしているからです。
また吐き出さない場合は、糞と一緒に体の外に出されています。
このように毛玉は吐き出すか、糞と一緒に排出するかで体の中から出されるようになっています。
吐く頻度は猫それぞれ
猫は基本的には、毛玉を吐いて出しますが吐く頻度は猫によって異なります。
毎日のように吐く猫もいれば、あまり吐かない猫もいます。
全然出さないのは心配ですが、あまり吐かない猫の場合は糞と一緒に出していることも考えられます。
おなかから出てこないこともあるのでは?
しかし飲み込んだ毛を吐き出せない、糞と一緒に排出もできないということも起こります。
体の中から毛玉を出せないままでいると「毛球症」という病気を引き起こす危険があります。
毛球症とは何かや、毛球症の対策についてまとめます。
出てこないときの毛球症に注意
猫が毛を出すことができず、お腹に溜まりすぎると「毛球症」を引き起こす危険性があります。
体内に溜まった毛玉が胃の粘膜を刺激してしまいます。
そして胃から腸への出口をふさぎ、胃腸の働きを悪くするのです。
食欲不振や嘔吐、便秘などの症状が見られるようになった場合は、毛球症を疑ったほうが良いかもしれません。
毛球症予防にはブラッシング
毛球症の予防には「ブラッシング」がおすすめです。
お腹に毛が溜まりすぎるのほ防ぐために長毛種は1日1回、短毛種でも2~3日に1回はブラッシングしてあげると良いでしょう。
首や耳の後ろ、わきの下、お腹、足の付け根などは特に毛玉ができやすい部分なので注意。
しかし長時間ブラッシングを続けると嫌がることもあるので、様子を見ながら行ってください。
換毛期はブラッシングの頻度を増やすのも良いですね。
猫草という選択
猫草も毛球症の対策として挙げられる方法です。
猫草はペットショップやホームセンターなどで、簡単に購入することができます。
食べさせることで、草が胃の中を刺激して吐き気の誘発をすると言われています。
また猫草は食物繊維なので、糞と一緒に毛を排出する作用も。
猫草を食べて毛玉を吐くか、糞と一緒に出ているようであれば心配はいらないでしょう。
毛玉ケアのキャットフードって?
猫に毛玉の問題はつきものですが、実は毛玉ケア用のキャットフードがあります。
フードを食べさせて毛玉のケアが本当にできるなら、嬉しいですよね。
しかし毛玉ケア用のキャットフードとは、具体的にどのようなフードなのでしょうか。
日常的に食べさせているフードとはどこが違うのでしょうか。
食物繊維を豊富に含有している
毛玉ケア用のキャットフードには、食物繊維が豊富に含まれているという特徴があります。
胃に溜まった毛玉を排出させるためには、毛を絡めとる食物繊維が多く含まれているということが重要です。
食物繊維は穀物やイモ類などに主に含まれています。
しかし穀物は猫にとって消化しにくく、アレルギーを起こしやすい食材とされています。
サツマイモやジャガイモなど穀物以外の原材料や、玄米や麦などの低アレルゲンの穀物が使用されているフードを選ぶと良いでしょう。
市販のキャットフードに含まれている食物繊維は約1~3%になっていますが、毛玉ケア用のものは市販のものより約2~3倍も多くなっています。
フードの成分表示で10%ほど含まれていたら、毛玉ケアに効果的と言えるでしょう。
オリゴ糖は整腸作用や糞便の臭いに配慮した成分
毛玉ケア用キャットフードは、通常のフードを与えているときと比べて糞の排出とにおいに配慮した製品も販売されています。
糞便に関して配慮されたフードには、オリゴ糖が使用されているものがあります。
オリゴ糖を配合することで整腸作用が働き、腸内で善玉菌に働きかけることで、スムーズな排便と糞のにおいを抑えることができます。
オリゴ糖は善玉菌のエサになる
猫は肉食動物なので、腸内にタンパク質をエサとする悪玉菌が発生しやすい生き物なのです。
摂取されたオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、増殖や活性化を助けます。
便秘などの解消にも効果が見られるので、整腸作用が備わっていることが分かります。
キャットフードに含まれるビートパルプとは
ビートパルプとは、砂糖大根(甜菜)という植物から砂糖の成分のみを搾り取って残った、搾りカスのことを指します。
この搾りカスには食物繊維が豊富に含まれているため、飼料用として古くから利用されてきた素材です。
おなかの毛玉排出に重要な役割
主に乳牛など飼料用に利用されてきたビートパルプ。
キャットフードに使用されていることについては、良いイメージを持っている人は少ないかもしれません。
しかし実は猫のお腹の毛玉排出に、ビートパルプは重要な役割を持っているのです。
ビートパルプは胃腸の中に入り、水を含むことで膨張して体内に溜まっている毛とくっつきやすくなります。
毛玉を絡めとったビートパルプは、そのまま糞として排出されます。
こういったメリットもあるビートパルプですが、砂糖大根から砂糖を取った搾りカスであるビートパルプは、本来は処理するべき産業廃棄物です。
廃棄されるべきビートパルプは使用すれば製造コストを抑えることができます。
そのため、使用されているのはフードのかさましのためと言えるのです。
食物繊維を含んでいる食材は、他にも様々なものがありますが野菜やイモ、豆類を配合しただけでは豊富な食物繊維が得られない場合も。
そのためビートパルプも使用することで、食物繊維量を増やしています。
基本的にはビートパルプが含まれていないものを選ぶほうが良いでしょう。
毛玉ケア用キャットフードはおなか全般のことを考えて作られている
毛玉ケア用のキャットフードは、おなか全般のことを考慮して作られています。
猫の毛玉ケア用のキャットフードは、市販のキャットフードよりも繊維質成分を2倍程度増やしています。
繊維質を増やすことで便通を改善し、排出しやすいように整えます。
毛玉は糞と一緒に排出されやすくなるので、毛玉を吐く負担も軽減されるというわけです。
ただ普段から便秘気味で水分が少ない硬い糞をする場合は、繊維質を多く摂取することで便が大きくなり、便秘が悪化する場合があるので注意してください。
毛玉ケアのキャットフードどんな風に選んだらいい?
市販の通常のキャットフードと、毛玉ケア用のキャットフードで、食物繊維の量など違いがありましたね。
では毛玉ケア用のキャットフードはどんな風に選んだらいいのでしょうか。
長毛種の猫には与えたい
市販の通常のキャットフードと、毛玉ケア用のキャットフードで、食物繊維の量など違いがありましたね。
では毛玉ケア用のキャットフードはどんな風に選んだらいいのでしょうか。
基本はいつも食べているフードの毛玉ケアラインで
毛玉ケア用のキャットフードは、毛玉について気になったときだけで大丈夫です。
毛玉ケアについて気になることができた場合に、まずはいつも食べているキャットフードの毛玉ケア対策用に切り替えてみると良いでしょう。
愛猫が好む味のフードを選んであげる
においや味によって、猫の食いつきは変わります。
フードを選ぶときは、愛猫が好む味のものを選んであげましょう。
サーモン好きの猫にはサーモン味のフード、チキンが好きな猫にはチキン味のフードなど。
おやつ感覚の毛玉ケアフード
主食としていきなり大きな袋の毛玉対策用フードは、食べてくれないなどのリスクを伴います。
まずはおやつ感覚で与えられるものを買って、試すのが良いかもしれません。
バラエティ豊かな毛玉ケアおやつ
最近では毛玉ケア用のおやつが、いろんなメーカーから製造販売されています。
またその種類もカリカリだけでなく、ウェットタイプやちゅーるみたいなものなど様々あります。
いろいろ試してみても良いですね。
食物繊維を多く含む分栄養のバランスが崩れる恐れ
毛玉ケア用のキャットフードは、通常のキャットフードよりも食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維が多くなっている分、猫が本来必要とするタンパク質の含有量はどうしても少なくなりがちです。
毛玉ケア用のキャットフードのみ食べさせ続けていると、栄養バランスが崩れるので、継続して与えるのは避けたほうが良いです。
毛玉ケアまとめ
猫の毛玉ケアについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
猫はグルーミングをした際に毛を飲み込んでしまう動物です。
通常、体内に溜めないように吐き出すか排便の際に一緒に出しますが、出せずにお腹の中に溜まってしまうことも。
お腹に毛玉が溜まりすぎると、毛球症を起こして食北不振や嘔吐などの症状が現れます。
毛球症にならないように普段からブラッシングをしたり、猫草を食べさせたりで対策しましょう。
もし毛球症になってしまった場合は、毛玉ケア用のフードやおやつを食べさせてあげると良いですね。